ヨガ式 立禅「アーチャーポーズ」

アーチャーポーズと呼ばれるヨガ式 立禅をご紹介します.

立禅(站椿功)とは,立位の状態(様々な姿勢あり)で気を練る鍛錬法で,武術の稽古の一環として行われています.

昔のカンフー映画などで空気イスの状態(馬歩)で微動だにしない状態もその鍛錬法のひとつといえます.

クンダリー二ヨガにも立った状態で気を練るエクササイズがいくつかあります.

その代表的なものが「アーチャーポーズ」です.

 

これは,弓矢を引くような姿勢をとるので,そういう名前が付けられています.

インドのシーク教の武術家たちの間では,昔から鍛錬の一環として行われてきました.

ストレッチポーズと同じぐらい重要なポーズです.

この姿勢で「火の呼吸 」を行うと,人体に存在する8つのチャクラが一気に活性化され,全身のエネルギーが格段に高まります

 

【やり方】

まず,左足を60cm程前に出します.

つま先が見えなくなるまで前足の膝を曲げます. (重心比率=前足7割:後足3割)

後足は,まっすぐ伸ばし,前足に対し,つま先を45°外側に向けます.

左腕を前に伸ばし,弓を掴んでいるように握りこぶしをつくり,親指を立てます.

右腕は,弓を引くように後ろに引き,親指を立てます.

左手の親指の爪を凝視します.

「火の呼吸」を1分~3分行います.

おわりに,さらに腰を落とし,前足に重心をかけ,2種類のムルバンダを適用します.

終わりましたら,その場で身体を反転させ,同様に右足・右腕が前の状態でも繰り返し行います(火の呼吸1~3分).

左右終わりましたらシャヴァーアーサナでリラックスします.

 

【アーチャーポーズとチャクラの関係性】

足による刺激(足の曲げ)が①②③番目のチャクラを活性化.

腕による刺激(弓引き動作;中国武術の十字勁のイメージ)が④番目のチャクラを活性化.

喉への刺激(首のひねりによる圧迫)が⑤番目のチャクラを活性化.

凝視する行為(親指への凝視)が⑥,⑦番目のチャクラを活性化.

全てのチャクラが活性化することで,チャクラのエネルギー総量にあたる⑧番目のチャクラ(オーラ)が活性化.

 修行が進めば,凝視している親指や前腕周りにオーラの存在を確認することができるでしょう.

 

クンダリー二ヨガでは,足や腕の角度など,非常に細かい留意点がありますが,それはこうしたチャクラへの刺激が背景にあるからなのです.

このエクササイズ中は,常に尾てい骨から脳天までの一本の中心線(スシュムナ)を意識することが重要です.

「きつい,つらい」という雑念が湧いてきても,正中線の活性化を感じながら瞑想的に行います.

内側への集中である「内観」が伴わないと,単なる筋力トレーニングになってしまいます.

足腰の鍛錬として行う場合は,足幅を広く取り,腰を深く落とします.

 

このように「アーチャーポーズ」は,8つのチャクラを一気に活性化してくれる便利な反面

「ストレッチポーズ」のように集中的に一ヵ所を活性化させるのは苦手としています.

 

【築気の重要性】

中国武術では,站椿功の前に,「小周天」と呼ばれる体内の気を循環させる技法を適用する場合もあります.

流派によっては,「小周天」を秘伝扱いし,いきなり站椿功から入る場合もあります.

 

しかし,「小周天」は,循環に関しては良いのですが,「築気」と呼ばれる臍下丹田自体への刺激が少し弱いように思えます.

「文息」「武息」と呼ばれる呼吸の強弱とイメージで丹田の活性化や経絡を循環させるのですが,

「火の呼吸」のような断続的で瞬発的な刺激が少ない為,どうしても刺激量が足りなくなってしまいます.

 

バーベキューでいえば,通常呼吸(自然呼吸)が炭ならば,「火の呼吸」は着火剤にあたるといえます.

実際には「小周天」の前に築気として,逆腹式呼吸を秘伝的に行う流派もあるようです.

 

バジャン先生もその昔,インド国内にてクンダリーニヨガと合わせてハタヨガも指導していました.

しかし,クンダリーニヨガの方が進化速度が3~5倍速いと体感されたそうで,渡米後にハタヨガは封印してしまいました

その進化速度の違いには,間違いなく「火の呼吸」の存在の有無にあるといえるでしょう.